本日の授業でさっそくディクトグロスをしてみました。ディクトグロスとは、簡潔に述べるならば、一定量のインプットを何回か聞き、その内容をメモし、その後、ペアまたはグループ(個人)でもとのインプットの内容を再現するタスクのことです。ちょうど授業で北京オリンピックを題材にした教材があったので、そちらを用いてやってみました。
以下感想とコメントです。まず、最後にテキストを再生するというタスクがあるため、生徒は聞く目的を明確に持つことができたようで、いつもよりも熱心に教師の音読を聞き、メモをとっていたように思います。教室内でのリスニング活動だとただ問題に答えるためだけに聞く、という感じがしてしまいがちなのですが、今日は最終的に何かを成し遂げるために英語を聞く、といった、コミュニケーションの本質にせまるようなリスニングをすることができたように思います。
2つ目は、テキストを再生する過程で、様々な研究者が提唱するように、形式に焦点を当てた会話がペアで成されていました。例えば「日本新記録を樹立する」って、何 a Japanese recordだっけ?といったような会話です。そのような過程で、意味内容を中心としたアウトプットをしつつも言語形式に焦点を当てるような、いわゆるfocus on form的な活動を行なうことができていたように思います。また、テキストを再現するという明確なゴールがあるために、生徒は非常に熱心にテキスト再生にむけてアウトプット活動をしていたように思いました。生徒がgive upしそうなときには「you can take a look at your textbook for 10 seconds」なんて言ってみたりしてやる気を継続させようとしたのが功を奏したのかもしれません。
ただ、この活動では、確かに言語形式に焦点が当たり、最後にテキストを見て答え合わせをして「あ、そうか」という気づきが起こっていたように見えはしましたが、この気付きが言語形式の学習という側面から考えると、どの程度の効果があったのかは分かりません。タスク後のポスト活動に時間をとれなかったということもありますが、最初にこちらから学んでほしい表現をピックアップしておいたり、生徒が間違っていたところ、再現できていなかったところをよりピックアップして最後に明示的に説明を加えていればもう少し形式に焦点を置いた活動になっていたかもしれません。ディクトグロスの前後にどのような活動、指導をするかをより煮詰めることで、もっと明確なゴールをもった活動に昇華することができそうです。