どのクラスに入っても、大なり小なり学力差は存在すると思います。教師はどの教科、どの授業でも学力差にどのように対応するかの答えを持っていないと、学習者全員に取っての学びの場を提供できていないことになると思います。
最近、授業で、教科書を扱う際に、タスクとともに、解説のプリントを、タスクシートの裏に印刷するようにしました。この「解説」プリントには、言語形式面の説明を詳しく解説したものをのせていますが、これが中々好評(?)なように思えます。少なくとも、教科書の中身をこちらから解説するよりは、自発的に学習しているように見えますし、問題が多少難しくても解説を見ながら空欄を埋めようとする努力が見られています。
学習者の中には、解説を見てタスクができる学習者もいますし、解説を見なくてもできる学習者もいます。また学習者は一人一人分からない点も異なります。そういった事情に上手に対応するためには、「手引き」というか、学習の助けになるものが必要なのだと思います。一つの活動を行うときに、「何も解説を見ずにタスクを行うことができる」という目標と、「解説を見てタスクを行うことができる」という2つの目標を設定すると、どの学習者も自分の習熟度レベルに応じて学習するようになるのじゃないのかなあと今日考えていました。
同様に、音読をするときも、レベル別に相互評価をするシステムを取り入れてみました。具体的には、グループになり、音読評価シートを配る。評価の基準は明確にしており、自分の実践では、
①教科書にフリガナを振ってもいいので、なんとか教科書を読みきることができる、
②教科書に何も書き込まないで、なんとか教科書を読みきることができる。
③教科書をスラスラと読むことができる。
④教科書をなんとか暗唱することができる。
⑤まるでネイティブスピーカーのように暗唱することができる。
というレベル設定をしました。最後のレベル5は発音や、イントネーションを意識することと、楽しんで音読することの両方を目的としています。そして、学習者に10分間時間を与え、その中で相互評価をさせるという実践をしました。学習者は10分間を自由に使うことができ、すぐレベルチェックに取り組む生徒も入れば、何度も練習した後に、友人に音読を聞いてもらっている生徒もいました。
ある程度学習者に自由を与えた活動だったので、上手にいくかどうか不安だったのですが、この活動でも、学習者は自分のレベルに応じて、自分の中の目標を達成できるように努力しているようでした。レベル④までクリアした学習者は、楽しそうにレベル5に取り組んでいました。周りがざわざわとするので、普段は一生懸命音読しない学習者もがんばって取り組むことができたみたいです。
複数のレベルを設定するということは、言われてみれば当たり前のことなのかもしれませんが、実際にやってみて、思った以上にうまくいったなあと思いました。