Mackey, A., Gass, S., and McDonugh, K. (2000). How do learners perceive interactional feedback? Studies in Second Language Acquisition, 22, 4. 471-497.

この研究では学習者がインタラクション中に与えられるフィードバックを正しく認識できるかどうかを調査しています。実験参加者はESLの大学生10名とイタリア語を学ぶアメリカの大学生7名。ESLの学習者は英語母語話者(以下NS)と、イタリア語を学ぶ学生はイタリア語母語話者またはそれに近い発話者(以下NS)とspot-the-differenceタスクを行いました。タスク活動はすべてビデオに録画されており、タスクの直後、学習者は実験者と共にビデオを見ました。フィードバックが与えられたところで実験者がビデオを止めて、学習者にこの時何を考えていたのかを問いました。また、学習者は気になったことについて実験者に話をしました。(この手法をstimulated recallというそうです)

結果以下のことが分かりました。まず、学習者は語彙や音韻に焦点を当てたフィードバックに対しては正しく認識する傾向が見られました。それに対して、形態統語(morphosyntax)に焦点を当てたフィードバックに対しては、学習者は正しく認識できない傾向が分かりました。また、追調査として、学習者のフィードバックの認識、フィードバックの種類、フィードバックの焦点の関係を調査したところ、形態統語的なエラーに対して与えられたフィードバックのうち、75%が言い直し(recast)の形で与えられていたことが分かりました。それに対して、音韻に関するエラーに対しては、negotiationとnegotiationとrecastの組み合わせが多く与えられていました。これらの結果から、Mackeyらは、negotiationがrecastsに比べ、学習者の関与(involvement)を必要とするため、より形式に対してのattentionを引きつけたのではないかと仮定しています。その一方で、recastに関しては、正しい形式のインプットを学習者に与えはしたものの、学習者には、同じことを別の方法で言い換えているように捉えられているのではないかと指摘しています。

この論文を読んでいると、学習を促進させるための1つの要因として、関与度(involvement)があるのかなと思います。上述の通り、negotiationが学習者の関与を必要とし、言い直しがあまり必要としませんでした。その結果、negotiationの方は学習者に誤りに気づかせることができたと思われるし、言い直しの方は、形式に対するフィードバックだと認識されない傾向があったと報告されています。Focus on Formという、意味の中で形式に焦点を当てる手法が一時期非常に盛んに議論されましたが、Focus on Formの様々な手法を、学習者の関与度、という観点から考えてみるのも面白いかもしれません。

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