読了してまとめまで2週間以上かかってしまったHan and Ellis (2003)を本日終わらせた。
Han and Ellis (2003)は、明示的知識、暗示的知識を測定する方法について調査している論文で、主に文法性判断テスト、Oral Production Test、メタ言語的コメントなどの測定方法を計画し、因子分析をかけることによって、どのテストが明示的知識 / 暗示的知識を測定していると考えられるかを検証した。本研究の結果からは、メタ言語的コメントや時間制限ありの文法性判断テストが明示的知識を測定しており、時間制限のない文法性判断テストは、明示的知識と暗示的知識の両方を必要としていることがわかった。
冒頭にも書いたが、この論文は読んでまとめをするまでにかなりの時間がかかってしまった。単に忙しかったということもあるのだが、一つ考えられる原因が、自分が知りたかったことと論文が調べていたことにギャップがあったということである。8月に行われた全国英語教育学会以来、明示的知識、暗示的知識の関係に興味があったのだが、よく考えてみると、自分の興味は「明示的知識の取得とと暗示的知識の取得にはお互いが影響を与えているのか?与えているとしたらそれはどのような関係があるのか?」ということを知りたかったように思う。対してHan and Ellis (2003)では「明示的知識、暗示的知識という二つの異なる知識をどのようなテストを以て測定することができるのか」ということを考えていたように思う。従って、明示的知識と暗示的知識との関係性について述べられているわけではなく、その点が論文を読んでいて「何かが違う」と考えた理由になるように思われる。
一応述べておくが、上記の自分の思いは、この論文の良し悪しとは全く関係がない。単に興味の方向性がずれていたというだけで、明示的知識と暗示的知識の測定方法を知ったり、この分野でどのような研究がされているのかを知るためには有益であるように思われる。